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内部ガスでの真空引き|エアコントラブル相談室

内部ガスでの真空引き

フロンガスによるエアパージで工事をされました

先日エアコンをある量販店で購入し、取り付けてもらいました。

店では「真空引き」で工事をすると明言されたので安心していたのですが、工事が終 わってみると、真空引きはしていないとのこと(工事前に言われれば対応したとの 話)。店にクレームしたところ、ガス抜き&真空引き+再充填することはできるとの ことでした。このまま使うのが良いのか、上記作業を依頼すべきなのか(とはいえ、 同じ手抜き作業者が対応するかも?)判断がつきません。実際に真空引きを行わなかった場合に どの程度問題がある、或いは、将来的に故障しやすくなるのでしょうか。なお、メーカーのF社に問合せたところガス不足の可能性は有るものの大きな問題は無いと言われました。

内部フロンガスによるエアパージの問題点

エアコン内部に充填されているガスを使用してのエアパージは現在どこのメーカーも推奨しておらず、好ましい方法ではありません。 この作業による問題は考え方やそれぞれの立場によって異なってきます。

一般的に考えた場合

エアコン内部のフロンガスを使用したエアパージは下記のような問題点が指摘されています。

などの問題点を考えるとやはり真空ポンプでの作業は必須と思います。

具体的な取付事例で考えた場合

一般的に推奨されていない内部ガスでのエアパージですが具体的にどのような問題があるのか下記の取付事例で考えてみます。

実際の取り付けが上記のような条件だった場合、エアパージ用の余分なガスは充填されていませんが、7mまでガスの追加充填が不要な機種なので実際取り付けた配管4mとの差、3m分のガスおよそ30gが余分に入っていた事になり15から30g放出してもギリギリガス不足にはなりません。

新品の配管で十分にエアパージを行えば不純物の残留も特に大きな問題は無いと思います。

HFC410AはR32とR125の2成分が混合された擬似共沸冷媒でそれぞれの沸点がほぼ同じのため蒸発による組成変化が少ない冷媒です。

あるエアコンメーカーの資料では全ガス量の60%まで放出しても混合ガスの組成変化は起こさないとの記述がありますので、15g程度の放出では特に問題はありません。なお業務用エアコンに一部使用されているHFC407Cは蒸発による組成変化を起こしやすい冷媒です。

よって、上記の条件で考えればエアコン内部ガスでのエアパージを行われても、これが原因で動作上不具合を起こす可能性少ないと思われます。なお、条件が変われば不具合を起こす可能性があるので、個々の取付事例、機種を元に判断する事が必要です。環境上は問題がある取付となります。

取付業者の立場で考えた場合

ルームエアコンの取付工事は商品の性格上6,7月とそれ以外の季節では工事台数が大きく異なります。当然暑い6、7月に工事が集中する為一日の取付台数が多くなります。取り付け業者としては少しでも時間を短縮したいのが実情です。そのため、真空ポンプを使用しないで内部ガスでエアパージを行う場合があるようです。

ユーザーの立場で考えた場合

エアコン内部ガスでのエアパージで取付られて問題があるかどうかは実際の取付状況、取付機種から判断する必要があります。これには取付状況をメーカーサービスに話して確認する方法が確実です。メーカーに確認して将来的に故障の原因にはならないと言われたら大丈夫だと思います。

しかし、問題となるのは実際に故障を起こした時です。もし、2年程度で故障したら、長期保証終了後の6年程度で故障したら、エアパージと直接の因果関係がなくても取付時の作業内容を思い浮かべるはずです。その時点で販売店や工事店にクレームをつけても取り合ってもらえません。もし、万一の故障を不安に思われるようでしたら「ガス抜き&真空引き+再充填」の作業を行ってもらってください。なお、この作業は環境の為専用の回収装置と回収用ボンベで古いフロンガスを回収してもらってください。

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